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アーモンドを“モーニングスナック”として食べると、朝食を食べない大学新入生に有益なことが新たに判明

アーモンドをモーニングスナックとして摂取することで、食後の血糖コントロールや、HDL(善玉)コレステロールのレベル維持に効果的

2018/10/18

アーモンドを“モーニングスナック”として食べると、朝食を食べない大学新入生に有益なことが新たに判明

18歳の子どもを初めて大学に送る親にとって、1人暮らしを始める子どもがどのような食生活を送るのかは大きな心配事です。大学生活を始めたばかりの若者は、新しい不健康な食事パターンに陥いってしまうのが通常です1。事実、調査によれば、大学新入生の20~43%が朝食をとらずに登校することが判明しており、さらに大学生活を始めたばかりの若者にとって、朝食は突出して抜いてしまうことが多い食事となっています2 3 4 5。これは残念な統計値です。なぜなら、アメリカ心臓協会(American Heart Association,AHA)による科学的な発表によれば、毎日朝食をとることで、血糖値やインスリンの代謝を含む心血管代謝のリスク要因を減らせる可能性があることが分かっているからです6。

世界最大のアーモンド生産地である米国カリフォルニア州の約6,800のアーモンド生産農家ならびに100を超える製造加工業者で組織される「カリフォルニア・アーモンド協会」(本拠地:米国カリフォルニア州モデスト)の資金提供により、カリフォルニア大学マーセド校の研究者が行い、Nutrients誌に発表した新たな研究では、朝食を抜く大学生が、持ち運びしやすいアーモンドを「モーニングスナック(朝のおやつ)」にするのは賢明な選択であることを示唆しています7。

ほぼ毎日朝食を抜く大学新入生が、アーモンドまたはグラハムクラッカーをモーニングスナックとして食べると、総コレステロール値が下がり、空腹時血糖値が改善したことが分かりました。また、グラハムクラッカーと比較して、アーモンドを食べる方がより有益であることも分かりました。8週間の調査で、アーモンドを食べた大学生の方が、HDL(善玉)コレステロールの値をより維持できたほか、血糖のコントロール機能を示す測定値も改善しました。

調査では、73名の健康な大学1年生(女性41名、男性32名)を、下記の2つのグループに無作為に割り当てました。

  • アーモンドを摂取するグループ:素焼きアーモンドを1日あたり56グラム(約2オンス)、合計320キロカロリー摂取
  • グラハムクラッカーを摂取するグループ:グラハムクラッカーを1日あたり77.5グラム(5枚)、合計338キロカロリー摂取

8週間にわたり、両グループを対象に、割り当てられたスナックの摂取を研究者が監視しました。ただし、週末および春休み中は、携帯電話のショートメッセージを通じて規定どおりに摂取しているかを監視しました。調査の参加者は、有効性が検証されている24時間食物摂取頻度調査票を使い、カロリーと栄養素の摂取を記録しました。

その結果、以下に示すとおり、アーモンドを摂取したグループの方が、血糖コントロールおよび心血管代謝にかかわるいくつかの健康指標の値が優れていることがわかりました。

  • 2時間の血糖上昇曲線下面積(AUC)が13%小さい
  • インスリン抵抗性指標(IRI)が34%低い
  • インスリン感受性の総推定値を示す、経口ブドウ糖負荷試験中のMatsuda指標が82%高い。この指標はアーモンドグループではほぼ2倍であった
  • HDL(善玉)コレステロールのレベルがよりよく維持できた。どちらのグループもHDLコレステロールの値は下がったが、クラッカーグループの低下量が24.5%であったのに対してアーモンドグループの低下量は13.5%にとどまった。

研究チームのリーダーを務めたルディ・オルティス(Rudy Ortiz)博士は、次のように述べています。 「大学生を初めて対象としたこの研究により、朝食を抜く人にとってアーモンドはお薦めのスナックであることがわかりました。特に、若くて健康な集団において、アーモンドの摂取によりMatsuda指標が8週間で2倍になることは重大です。これは、アーモンドがインスリン感受性に好影響を与えるかもしれないことを示唆しています。また、血糖コントロールおよび心血管代謝に関わる他のいくつかの健康パラメータへの影響は、特にこの集団において、アーモンドが賢明なスナックであるという可能性を示すものです」

また、調査期間中にどちらのグループも体重がわずかに増加していますが、これは驚くことではありません。大学新入生は体重が少し増加する傾向にあります8 9。複数の調査により、大学での体重増加は身体活動の減少と関係があることが示唆されているからです10 11 12。わずかな体重の増加が観察されたにもかかわらず、8週間の調査期間中に空腹時血糖値は低下しています。これは、アーモンドであれグラハムクラッカーであれ、この集団ではモーニングスナックを摂取することが有益であることを示しています。さらにどちらのグループにも、LDL(悪玉)コレステロールの値が減少するという効果がありました。

研究の概要

調査方法
8週間のランダム化並行群間介入試験 で、73名の健康な大学生(女性41名、男性32名)が素焼きアーモンド(56.7グラム/日、320キロカロリー)またはグラハムクラッカー(77.5グラム/日、338キロカロリー)を間食として摂取しました。調査開始時点と4週間後および8週間後に空腹時血清/血漿サンプルから変化を評価しました。8週間後に、2時間の経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行って急性効果を評価しました。
結果
アーモンドを摂取したグループは、クラッカーを摂取したグループと比較して、8週間後のHDLコレステロールの低下が少なく(アーモンドグループが13.5%の低下、クラッカーグループが24.5%の低下、p<0.05)、2時間の血糖上昇曲線下面積(AUC)が13%小さく、インスリン抵抗性指標(IRI)が34%低く、OGTT時のMatsuda指標が82%高いという結果となりました。両グループ共に8週間で体重はわずかに増加しました。アーモンドを摂取したグループ、クラッカーを摂取したグループ共に、総じて空腹時血糖値およびLDLコレステロールの値は低下しました。
研究の限界
  • モーニングスナックを食べない」グループがないことは、朝食をとらない場合の生理的反応の評価ができないことを意味します。しかしながら、他の研究により、さまざまな集団における朝食を抜いた場合の生理的影響はすでに実証されています6。
  • 両グループの体重増加分はほとんどが除脂肪量(0.6 kg)ですが、身体組成(特に肥満体の場合)の正確な評価における生体電気インピーダンス分析の限界、および筋力トレーニング中の活動評価における加速度計の限界は、この研究結果を解釈する場合に考慮すべきです。
  • 研究者は、事前・事後介入評価のために8週間後に行ったものと同じ5時点OGTTを介入前に行っていません。しかしながら、グループ間で試験開始時点の空腹時インスリン感受性に差異はありませんでした。
  • 介入中間点の直前には7日間の春休みがあります。しかし、4週間後に顕著な差異がなく、8週間後に最終的に差異が観察されたことは、中間点でのこのような中断の影響は重大ではないことを暗示しています。
結論
ほぼ常に朝食を抜く大学1年生の食習慣にモーニングスナックを取り入れることは、血糖コントロールおよび心血管代謝上有益であることが示されました。アーモンドの摂取は、今回調査対象とした集団で食後の血糖コントロールに有益な可能性があります。この反応は、心血管代謝にかかわるリスク要因の状況に左右される可能性があります。

1 Brevard PB, Ricketts CD. Residence of college students affects dietary intake, physical activity, and serum lipid levels. J Am Diet Assoc. 1996; 96:35-38.
2 Pendergast FJ, Livingstone KM, Worsley A, McNaughton SA. Correlates of meal skipping in young adults: a systematic review. Int J Behav Nutr Phys Act. 2016; 13.
3 Huang Y-L, Song WO, Schemmel RA, Hoerr SM. What do college students eat? Food selection and meal pattern. Nutr Res. 1994; 14:1143-1153.
4 Heatherton T, Nichols P, Mahamedi F, Keel P. Body weight, dieting and eating disorder symptoms among college students, 1982- 1992. Am J Psychiatry. 1995; 152:1623-1629.
5 Driskell JA, Kim Y-N, Goebel KJ. Few differences found in the typical eating and physical activity habits of lower-level and upper-level university students. J Am Diet Assoc. 2005; 105:798-801.
6 St-Onge M-P, Ard J, Baskin M, Chiuve SE, Johnson HM, Kris-Etherton P, Varady K. Meal timing and frequency: implications for cardiovascular disease prevention: a scientific statement from the American Heart Association. Circulation. 2017; 135:e96-e121. Doi: 10.1161/CIR.0000000000000476.
7 Dhillon J, Thorwald M, de la Cruz N, Vu E, Asghar SA, Kuse Q, Rios LKD, Ortiz RM. Glucoregulatory and cardiometabolic profiles of almond vs. cracker snacking for 8 weeks in young adults: A randomized controlled trial. Nutrients 2018; 10(8): 960. https://doi.org/10.3390/nu10080960.
8 Vadeboncoeur et al. A meta-analysis of weight gain in first year university students: Is freshman 15 a myth? BMC Obes. 2015, 2.
9 Crombie et al. The freshman weight gain phenomenon revisited. Nutr Rev. 2009; 67: 83-94.
10 Jung ME, Bray SR, Martin Ginis KA. Behavior change and the freshman 15: tracking physical activity and dietary patterns in 1st year university women. J Am Coll Health. 2008; 56:523-530.
11 Butler SM, Black DR, Blue CL, Gretebeck RJ. Change in diet, physical activity and body weight in female college freshmen. Am J Health Behav. 2004; 28:24-32.
12 Wengreen HJ, Moncur C. Change in diet, physical activity and body weight among young adults during the transition from high school to college. Nutr J. 2009; 8:32.

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