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脂質酸化と油分移動

脂質酸化および油分移動とは、アーモンド内の油分に生じる望ましくない化学反応です。適切な保存および加工によって、それらは低減または回避することができます。

酸化と酸敗

脂質酸化とは、脂質と油分の分解を引き起こす望ましくない反応の複雑な連鎖です。アーモンドのような油分を含む食品では、酸化反応によって、ナッツに「腐敗した」風味や臭いが生まれ、品質の劣化につながります。脂質酸化中に、酸素は脂質内の脂肪酸と同時に反応し、主要な分解生成物(過酸化物、共役ジエンなど)を形成し、酸化が進むにつれ、雑味や異臭をはなつ二次生成物(揮発アルデヒド、ケトンなど)が形成されます。酸化は、これらの主要および二次的生成物が1種類以上存在、または累積していることを検査することで計測できます。例えば、アーモンドでは過酸化物価(PV)および遊離脂肪酸(FFA)を検査することができます。

高温での貯蔵、多湿、光および一部の金属(鉄など)は、アーモンドの脂質酸化を促進し、賞味期限が短くなる場合があります。加工もまた、アーモンドを酸化しやすくします。皮を除去したり、カッティングにより、酸素に露出される表面積が増え、またローストはアーモンドのミクロ組織を変化させ、それによって細胞内のより多くの油分が酸素に触れます。

水分活性(aw)レベルは、脂質酸化速度に影響します。脂質酸化は、アーモンドawが約0.25~0.35(約3~4%の湿分含有)の際、通常最も低く、そのaw範囲より高いか低い時に増加します。

 

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油分移動とファットブルーム

ローストされたホールアーモンドまたはカットアーモンドは、チョコレートで包んだり、混ぜたりして使用されます。アーモンドには油分が多く含まれており、この特徴は、保存期間を過ぎたチョコレート製品にファットブルームという品質劣化をもたらす可能性があると見なされることがよくあります。ファットブルームが原因となって生じる現象は、以下の通りです。

  • チョコレートの軟化

  • チョコレート表面の「ファットブルーム」

  • フィリングの硬化

これらの劣化は、一般的に油分または脂質の移動に関連する複雑な相互作用の結果です。油分移動は、チョコレート製品の品質および賞味期限に重要な影響を及ぼします。油分移動を完全に防止することはできませんが、素材の選定とチョコレート加工工程を技術的に考慮する(適切なテンパリング、適切な取扱いおよび低温度(<68°Fまたは<20°C)貯蔵など)ことによって最小化できます。

カリフォルニア大学デービス校の研究者によるモデル菓子製造システムを使ったローストおよび油分移動後のアーモンドのミクロ組織に関する最近の研究は、菓子製造の素材としてのアーモンドの加工要件および性質に関して価値の高い知見を提供しています。丁寧にテンパリングされたチョコレート製品の場合、軽くローストされたアーモンドでは、商業用チョコレート製品の賞味期限に相当する保存期間内で、チョコレート媒体への油分移動は見られませんでした。また、挽かれたアーモンド製品から作られたフィリング(バター、ペースト、クリーム)との2段階構造において、25°C(77F)以下で貯蔵されたサンプルには、油分移動は見られませんでした。これは、油分移動を防止する上で、フィリングの成分よりも貯蔵温度が重要であることを示しています。

 

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