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アーモンド摂取と腸の健康に関する新しい研究結果

アーモンドの摂取が腸の健康に良い影響を与えることがいくつかの研究で示されています。最新の研究結果では、アーモンドが一部の腸内フローラ(腸内細菌叢)の機能改善に役立つ可能性があることが示唆されています。

2023/6/14

腸内フローラとは、私たちの消化管に生息する細菌などの微生物群集を指し、消化や代謝、免疫、脳機能など多くの身体機能において重要な役割を担っています。健康な腸内フローラを維持することは、健康的な生活に不可欠であり、食物繊維が豊富でバランスのとれた食事は、腸内フローラの多様性を高め、より良い健康をサポートすることができます。アーモンドの摂取と腸の健康との関連性に関する研究は増加しており、いくつかの研究結果では、アーモンドの摂取が腸内フローラと腸の健康に役立つ可能性があることが示されています。

ある研究1では、朝食を抜くことが多い大学1年生に朝食にアーモンドを摂取させたところ、腸内フローラの多様性と構成が改善したことが確認されました。研究者が、朝にアーモンドを摂取した群とグラハムクラッカーを摂取した群の腸内フローラの多様性と量を調べたところ、アーモンドを摂取した介入群ではクラッカーを摂取した対照群に比べて、調査後、アルファ多様性が量において3%、質において8%増加したことがわかりました。以前の研究で示唆されたように、細菌の多様性の増加は、耐糖能やインスリン感受性といった好ましい健康と関連しています。研究者によると、アルファ多様性の増大の要因は、アーモンドに含まれる食物繊維、一価不飽和脂肪、ポリフェノールの含有量にあると考えられています。

別の研究では、アーモンドを摂取することで、腸内の特定の善玉菌の相対的な量が増加することが確認されました。この研究は、さまざまな形状2のアーモンドの代謝エネルギーを測定することを目的としており、対象となった18名の健康な成人男女は、ホールアーモンド、ローストアーモンド、刻みアーモンド、アーモンドバターのいずれかを1.5食分(43g)、3週間にわたって毎日摂取しました。最後に、被験者の糞便サンプルを採取し、分析することで、腸内フローラの変化を追跡しました。各被験者は、それぞれの形状のアーモンドでこの試験を繰り返し実施しました。その結果により、研究者は、アーモンドに含まれる食物繊維と多価不飽和脂肪酸が、腸内フローラの組成を調節する一因となっている可能性を示唆しています。

アーモンドの摂取が一部の腸内フローラの機能に良い影響を与える可能性があることを示唆する研究結果

キングス・カレッジ・ロンドン3のケビン・ウィーラン(Kevin Whelan)教授率いる研究チームは、ホールアーモンドとアーモンドパウダーの摂取が腸内フローラの構成と多様性、腸管通過時間に与える影響についての研究に着手しました。

本研究によると、アーモンドを摂取すると、有益な短鎖脂肪酸(SCFA)の一種である酪酸が、大腸内で有意に増加することが確認されました。酪酸は、腸内の微生物が食物繊維を消化する際に生成されるもので、大腸を覆う細胞である大腸細胞の主要なエネルギー源であり、人間の健康に関わる複数のプロセスに関与している可能性があります。酪酸の増加は、他の研究ではいくつかの健康上の利点4,5と関連付けられています。さらに、アーモンドの摂取は、便秘解消にも効果があることが分かり、定期的な排便は、胃腸の働きが良好であることと関連しています。

アーモンドの摂取が腸内環境に与える影響

研究概要

研究内容

本研究では、食物繊維が推奨量より少ない典型的な食事を摂取し、定期的に間食している、平均年齢27.5歳の健康な成人男女87名(女性75名、男性12名)を、1: 毎日56gのホールアーモンドを摂取するアーモンド群、2: 56gのアーモンドパウダーを摂取するアーモンド群、3:同等のカロリーのマフィンを摂取する対照群の3グループ各29名構成で無作為に分けました。被験者はいつものスナックの代わりに試験用スナックを1日2回、4週間にわたり摂取しました。試験期間中、被験者は上記に加え、スナック摂取時に最低100mLの水分摂取を行いました。

研究結果

アーモンド(ホールアーモンドとアーモンドパウダー)を摂取した介入群では、酪酸が有意に増加し、排便回数も増加しました。アーモンドは耐容性が高く、胃腸に有害な症状を引き起こすことがなかったことから、アーモンドの摂取は副作用を引き起こすことなく食物繊維を増やす方法である可能性が示されました。これは、微生物叢の機能にポジティブな変化をもたらすことを示唆しています。

研究の限界

本研究の限界は、被験者の86%以上が女性で、平均年齢が27.5歳という、性別分布と年齢分布の両方にあります。本研究結果が必ずしも男性や高齢者に一般化できるわけではありません。

アーモンドと腸内環境に関する今後の研究

この有望な知見を前提として、現在、アーモンドが腸の健康に与える影響を調査し、この分野の知識を向上させるために、多くの研究が行われています。

腸に栄養を与えるアーモンド

アーモンドに含まれる食物繊維、多価不飽和脂肪酸、ポリフェノールなどの栄養素が、腸内フローラを改善させるアーモンドの潜在的な効果に関与していると考えられています。アーモンドには、不飽和脂肪酸(30gあたり14g)、飽和脂肪酸(30gあたり1g)、食物繊維(30gあたり4g)、およびマグネシウム(30gあたり81mg、22%NRV)、カリウム(30gあたり220mg、11%NRV)、ビタミンE(30gあたり7.7mg、60%NRV)などの必須栄養素が含まれており、栄養価が高く、間食として最適な食材です。

しかし、腸の健康に関する研究は一般的にまだ始まったばかりであり、発見すべきことや理解すべきことがたくさんあることを忘れてはいけません。アーモンドに関するこれらの初期研究から得られた知見は有望ですが、さらなる研究が求められます。

1. 「大学新入生を対象に、8週間、アーモンドをスナックとして摂取してもらったところ、等カロリーのスナックと比較して、腸内細菌叢のアルファ多様性が改善し、嫌気性菌の量が減少した。」Dhillon J、Li Z、Ortiz RM。Current Developments in Nutrition。2019;3(8):nzz079. doi: 10.1093/cdn/nzz079.

 

2. 「アーモンドの摂取とプロセシングは健康な成人男女の消化管微生物叢の構成に影響を与える。」Holscher HD、Baer DJ、et al。ランダム化比較試験。Nutrients。2018;10 (2): 126.

 

3. 「アーモンドとアーモンド加工が胃腸生理、管腔微生物学、胃腸症状に与える影響」。無作為化対照試験と咀嚼試験。Creedon, A. C., Dimidi, E., Hung, E. S., Rossi, M., Probert, C., Grassby, T., Miguens-Blanco, J., Marchesi, J. R., Scott, S. M., Berry, S. E., & Whelan, K. (2022)。American Journal of Clinical Nutrition, nqac265. https://doi.org/10.1093/ajcn/nqac265

 

4. 「食物繊維から宿主生理まで:重要な細菌代謝産物としての短鎖脂肪酸」。Koh, A. , De Vadder, F. , Kovatcheva-Datchary, P. , & Backhed, F. (2016)。Cell, 165(6), 1332-1345. doi: 10.1016/j.cell.2016.05.041.

 

5. 「睡眠を増強する、腸内細菌の代謝物である酪酸」。Szentirmai, E. , Millican, N. S. , Massie, A. R. , & Kapas, L. (2019).。Scientific Reports, 9:7035, 1-9. https://www.nature.com/articles/s41598-019-43502-1